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折坂悠太の名盤『平成』全曲レビュー!「さびしさ」「坂道」など考察&感想

音楽コラム:あまりに良すぎた。折坂悠太「平成」アルバム全曲レビュー! 趣味・コラム
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夫

NHK「みんなのうた」で話題になった『やまんばマンボ』で、折坂悠太さんの絶大なる才能に衝撃を受けたわが家。

その後、名盤と名高いアルバム『平成』をじっくり聴き込みました!

あまりにも良すぎたので、全曲レビューしたいと思います。

アルバム『平成』とは?

2018年にリリースされた折坂悠太さんの2ndフルアルバム。
第11回CDショップ大賞(2019年)を受賞したほか、宇多田ヒカル氏や後藤正文氏(ASIAN KUNG-FU GENERATION)をはじめ、数々のミュージシャンや批評家から「2010年代の邦楽シーンを代表する傑作」と絶賛された作品です。

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折坂悠太『平成』全11曲レビュー

1曲目「坂道」

カエターノ・ヴェローゾを思わせるトロピカルなアレンジなのに、メロディーがどこか童謡っぽさもあり耳を引く。

妻に「このニュアンス分かるよね?聞いたことあるよね?」と同意を求めたが、「分からん」と一蹴された。

くじけず「魔法じかけのこの歌を〜♪、みたいな歌よ」と説明しても、「だから分からんって」とキレ気味の妻。

よく考えると、NHK「みんなのうた」や音楽の授業でしか聞いたことなく、タイトルすら知らなかった。

ググってみると、「切手のないおくりもの」

作詞作曲はまさかの財津和夫。チューリップ。「ひとつ屋根の下」じゃないですか。

トロピカル風味の童謡と思わせといて、ニューミュージックやポップスの文脈でもあったんですね。

2曲目「逢引」

「坂道」が終わると、ドラムが鳴り始める。それだけで景色を変えてくれる。日常から一変、みたいな。

ドラムに続いてピアノ。この融合。非日常さが増幅する。

この曲は私をどこに連れて行こうというのだ。

アレンジの方向性はジャズ風か。ベースはウォーキングしているし、ギターはカッティングでリズムを刻む。

さて、肝心のボーカル。浪曲風かと思ってたらスキャットみたいに語りを入れてきたぞ。出征みたいだ。

あれ、「各都市の私が呼び合うように」「腹決めた子供たち」とか、歌っているぞ。

本当に出征の歌?「日常を一変」させるイントロってそういうこと?前線の兵士を慰問する楽団の歌?

3曲目「平成」

折坂悠太は1989年生まれ。すなわち平成元年生まれが2018年(平成30年)に放つアルバムのタイトル曲。

「疲れてた」で始まり、「幸、おれたちに多くあれ」というフレーズで終わる。

「平成は色々嫌なことあったけど、令和はたぶん明るいぜ」という心境なのでしょうか。

4曲目「揺れる」

「揺れたろうか」と「夢だろうか」で韻を踏んでいるのが思わせぶり。

固定されない。フィックスされない。

そんな浮遊感は、ギターとアルトサックスだけのアレンジにも込めているのだろうか。

5曲目「旋毛からつま先」

Aメロ、Bメロ、サビのような構造ではない曲。頭のてっぺんから足の先までの愛を表現した歌。チンドン屋みたい。メキシカンな感じもする。

君の顔 耳の形 食べちゃいたいほど吐きそうだ

引用:折坂悠太『旋毛からつま先』(作詞:折坂悠太)

って歌っているけど、つま先まで愛していてもやっぱり食べたら吐くのかな。

6曲目「みーちゃん」

幼少期の姉を歌っているらしい。冒頭、ハンドクラップとベースのリズムが別々で心が掻きむしられるみたい。

ちなみにうちでは車でかけると子ども二人が「(息子)ちゃん、ダメ〜!」「(娘)ちゃん、ダメ〜!」と「ダメ」の押し付け合いをする。

曲は全体的に民謡っぽいのにエンディングはジャズの即興演奏風になる。

エンディングに入る前のフェイク「うあっ」が入るからか、ソウルっぽさもある。

うちの子どもには、この「うあっ」こそ真似してほしい。

7曲目「丑の刻ごうごう」

タイトル通り、丑の刻(午前1時とか3時とか)に呪いをやってるんだろうか。

「高速道路」というワードもあるから、平成令和に五寸釘打っている男の歌なのだろうか。

アコースティックギターが、北欧アイスランドのエレクトロニカ・バンド、múmを思い起こさせる(こともある。毎回毎回ではないけど、たまに、「あれ、これ、múmいるな」と思うことがある、ということ)。

8曲目「夜学」

全編ポエトリーリーディング。

間奏ではシャウト。アルトサックスでジャズっぽさを演出。ドラムと合わさるとアフロビートぽくも聞こえる。

「夜学」と「若く」と「長く」と「あがく」で韻を踏んでいる。

歌詞の締めは「野に花の咲くような」。これまた童謡ですね。

9曲目「take13」

インスト。

ピアノとヴィブラフォンとアルトサックス。ずっと同じメロディーが鳴っている。

10曲目「さびしさ」

サントリー天然水のCM。

この記事を読んでくれている方も「あ、あの曲」とすぐに思うのではないでしょうか。

出会いの歌。恋の歌。別れの歌でもあるのか。ボーカルは裏声の入れ方が巧み。アルバムの最後を飾るような曲調だが本当は最後から2番目。

やがておれたちは砂浜の文字を高波に読ませて言うだろう

引用:折坂悠太『さびしさ』(作詞:折坂悠太)

という歌詞に惹きつけられる。

文字が波に消される様を「読ませて」と表現しますか、と。

11曲目「光」

本当に最後の曲。

ガットギターとストリングスだけで歌っていて、「これが本当に終わりの曲です」と言われたら、「ああ、そうですよね」と優しく言ってあげたくなる曲。

よく聞くと、前曲の「さびしさ」にはベースもマンドリンも入っており、「光」の楽器の少なさとコントラストになっていて、「終わりの曲」としての存在感を引き立てている気がする。

なぜ『平成』はこれほど心に刺さるのか?3つの魅力

1. 「和(ポップス、民謡、歌謡曲)」と「海外音楽(ジャズ、ラテン)」の巧みな融合

昭和の歌謡曲や日本の民謡のような懐かしさがあるのに、ベースとなるアレンジはジャズやラテン、ロックで味つけ。

このジャンルを超えた融合が、初めてでも耳に残りますし、聞けば聞くほど旨味が出る中毒性を生んでいます。

2. 「平成」という時代を俯瞰したような歌詞

タイトル曲「平成」に象徴されるように、どこか切なくも「これからの時代への祈り」が込められた言葉たちが、聴く人の心にやさしく寄り添ってくれます。

3. 子どもから大人まで惹きつける親しみやすさ

わが家の子どもたちが車内で大反応したように、初めてでも耳に残るリズムとメロディーがあります。

家事をしながら、あるいはドライブのBGMとしても最高の1枚です。

まとめ

全11曲、どこを切っても折坂悠太さんの規格外の凄みが詰まった1枚でした。

家事をしながら流したり、休日のドライブのBGMにしたりするだけで、いつもの何気ない日常がふっと味わい深いものに変わります。

サブスクでサクッと聴くのも手軽で良いですし、歌詞カードやジャケットの世界観を楽しみながらCDでじっくり味わうのもまた一興です。
(デヴィッド・ボウイの名盤『Heroes』のジャケットを思い出すのは私だけでしょうか)

「ちょっと聴いてみようかな」と気になった方は、ぜひチェックしてみてくださいね!

(※ CDは品切れ・中古流通の場合があります。)

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