
今回は、何気なく耳に入った折坂悠太の音楽に衝撃を受けた勢いそのまま、ライブ感満載でお届けしたいと思います。
節約 vs 外出- 揺れる午後のBGM
買い物に行こうか、行くまいか。
さっき冷蔵庫を開いたら毎朝必須のヨーグルトが切れかけているので出かけてもいいのだけど、行ったら行ったで余計なものまで買ってしまう。それこそ節約から遠ざかる。
ヨーグルトを補充するという、タスク一つだけのために出かけてしまうと、それこそ、ガソリンの無駄だ。節約から遠ざかる。
それならタスクを増やそうか。
ユニクロに着古したダウンジャケットを持って行き、回収キャンペーンで500円クーポンをゲットしたらいいんだ。回収期限は2025年4月30日。これだ。これしかない。
いや、ユニクロに行ったら行ったで、余計なものを買ってしまうかもな。500円もらって3980円差し出すなんてユニクロの思う壺だ。それこそ「節約ホリック」の沽券に関わる。
【音楽好きな夫】こと私が、「あーでもない、こーでもない」とぶつぶつやっている、そんな昼下がり。
そんな物憂げな雰囲気を打ち破るメロディーが流れてきた。
折坂悠太の「やまんばマンボ」だ。NHK「みんなのうた」の2025年4〜5月の新曲。
以前から興味はあった折坂悠太
子どもが口ずさむ中毒性
最近、息子がやたら歌っていたので、フレーズに聴き覚えはあった。

やまんばマンボ♪やまんばマンボ♪
冒頭は語りから始まり、ユーモラスな絵とアニメーションが軽快に進む。
旅人がやまんばと出会って慌てて逃げる様が、まるで踊るようで、やまんばが、そりゃマンボじゃないか?シャル・ウィ・ダンス?…と言い出す、まさかの展開。
何だそれ。
謎の世界観と、繰り返すフレーズに、つい見入ってしまった。
(歌の結末は、皆さん各自確かめてみて下さい。)
初めて聴いた衝撃!
…番組終了後、私は「折坂悠太って初めて聴いたけど、こんなに才能ある人だったんだ!」と雄叫びをあげる。
「ど、どしたの、」と驚く妻に対し、私が力説した内容はこうだ。
「折坂悠太はここ数年、音楽好きの界隈で評価されているシンガーソングライター。
たしか、『ミュージック・マガジン』ていう雑誌の年間ランキングでもかなり上位のこともあったはず(←正確にはアルバム『平成』が2018年の日本のロック部門1位)。
でも、邦楽のCDて高いじゃん?新品だと3300円もするんだよ?買えねえじゃん。かといって、YouTubeで無料で聴くのもなあ」
要するに、折坂悠太には興味はあったけど、テレビにも出ないし、触手を伸ばす機会がなかった、ということだ。
民謡とマンボの融合 – その独創性を分析する
「そう、出会う機会がなかったんだよ。でも、聴いてみると、もの凄い才能じゃないのかね。日本の民謡っぽさとタイトルにもある『マンボ』が見事に融合しているよね。
日本の民謡っぽさは日本で生まれ育ったら自然に身につく節回しや発声なのかもしれないけれど、マンボの部分は、Kenny dorhamの『Afro-Cuban』やsabuの『palo congo』を思い出したね。
2人ともジャズ界隈で、アフロ・キューバン・ミュージックをやっている人なんだけどね。
そのニュアンスと日本の民謡を結びつけるなんてねえ!この凄さが分かる?」
妻は即座に答えた。「分からん。私にも分かるように説明して」
細野晴臣から折坂悠太へ – 受け継がれる音楽の遺伝子
私は「よしきた!」と膝を叩き、前回のブログ記事を思い出すよう促した。
「前回は大瀧詠一を取り上げたよね?大瀧詠一が『はっぴいえんど』で一緒にやってたのが、細野晴臣なわけだけど、彼が『はっぴいえんど』を解散して、YMOを結成するまでの作品を彷彿とさせるんだよね」
解散して初のアルバム『HOSONO HOUSE』(1973年)はフォーク・カントリーのアメリカンなサウンドがベースだったが、次作からは音楽性が一気に広がった。
『トロピカル・ダンディー』(75年)『泰安洋行』(76年)『はらいそ』(78年)の3作は「トロピカル三部作」とも称される。
この時に細野が目指したのが、ガンボや沖縄、ファンクなどさまざまな要素をごった煮にした「チャンキー・サウンド」なのだ。
「前回記事では、大瀧詠一は1970年代半ばに黒人音楽のリズムを自分のものにしたレジェンドだと紹介したけど、その大瀧に並び立つ日本ロック界の巨人が細野晴臣なわけよ。『ワールド・ミュージック』(という言い方は最近はあまりしないけど)の先駆者とも言えるのかね。
折坂悠太は細野晴臣の遺伝子を受け継ぐものなのじゃないかね?折坂悠太のことをもっともっと知りたくなったよ!」
私はそう言って、wikipediaを見始めた。
妻は「あんた、wikipediaも見ずに、そんだけ喋り倒してたの…」と小さく呟いた。
最後に:音楽性にはバックグラウンドも影響?折坂悠太は必聴!
「あっらー、父親の転勤でロシアやイランに計5年ほど住んでいる。で、帰国するたびに不登校になり、フリースクールに通っている。これはたまげたね。細野にも通じる『チャンキー』な感覚は海外経験も反映されているのかもしれないね。これは、CD買うしかないね!」
私はそう言って、中古サイトを調べ始めた。